学校から単語カードの束を持ち帰ってくるようになった、あるいは少し早めに準備しておきたい——そんな方はここが出発点です。「サイトワードをおうちで教える」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、実は毎日の暮らしの中に、短くて楽しい練習をちょっと差し込むだけ。この記事では、サイトワードとは何なのか、いつ始めればいいのか、そして単語が自然と定着する気軽な遊びを紹介します。台所の床でのたった5分が、プリント何枚分にもまさる時間になりますよ。
サイトワードって、そもそも何?
サイトワードとは、文章の中にくり返し出てくる短い単語のこと。英語なら the、and、is、was、you、said などがその代表です。こうした単語の多くは、フォニックスのルール通りにきれいに音を組み立てて読むことができません(たとえば「the」は素直な発音ルールに当てはまりません)。だから子どもたちは、一文字ずつ読み解くのではなく、見た瞬間にパッと丸ごと覚えてしまう。この「見ただけで分かる」状態になると、頭の余力を、新しい単語を読み解いたりお話の内容を理解したりといった、もっと難しい作業に回せるようになるのです。
よく話題にのぼるリストが二つあります。ひとつは Dolch(ドルチ)リストで、単語220語に加えて名詞95語。もうひとつは Fry(フライ)リストで、使用頻度の高い上位1,000語です。とはいえ、どちらも丸ごと暗記する必要はまったくありません。学校に通っていれば、先生が少しずつ小分けにして単語を出してくれるのが普通です。おうちで自分から始めたいという場合は、まず Dolch のプリプライマー(いちばん初級)から最初の10〜15語 —— a、and、I、see、go、my あたり —— を目安にスタートすれば十分です。
いつ始める? 焦らず「待つ」という選択も
サイトワード(見て覚える語)の学習を本格的に始めるのは、多くの場合5〜6歳ごろ、日本でいえば年長さんから小学校に上がるあたりです。ただし、これはあくまで目安。始める時期には幅があって当たり前で、早い子も遅い子もいます。大切なのは年齢よりも、お子さん自身の「興味」。文字を指さしたり、「これ、なんて書いてあるの?」と聞いてきたり、お店のロゴや自分の名前を読めるようになったり——そんなサインが見えたら、それがスタートのゴーサインです。
逆に、まだそこまで興味が向いていないなら、無理に進める必要はありません。今はいっしょに絵本を読み聞かせたり、たくさんおしゃべりして「ことばの土台」を育てる時期。焦ってフラッシュカードに取り組ませるより、この土台づくりのほうがずっと大きな意味を持ちます。まずはゆっくり基礎を築きたい方は、読書好きを育てる、画面を使わない遊びの記事に、やさしいアイデアをたくさん紹介しています。
覚え方の基本は「見て、言って、使う」
リストにあることばを一度に全部やろうとしないでください。まずは2つか3つだけ。たくさん詰め込むと、子どもは必ずといっていいほど嫌になってしまいます。ひとつの新しいことばにつき、次のようなシンプルな流れを繰り返しましょう。
- 見る:その言葉を指さして、はっきりと声に出して読みましょう。
- 言う:お子さんにくり返させて、指で文字をなぞりながらもう一度言ってもらいましょう。
- つづる:いっしょに文字を声に出して言いましょう——「た・べ・る、たべる」。
- 使う:その言葉を使ってへんてこな文をいっしょに作りましょう(「きょうりゅうがトースターにこんにちはって言ったよ」)。
遊びながら覚える、記憶に残る言葉あそび
子どもは「お勉強している」と感じないときほど、パッと読める言葉をぐんぐん吸収していきます。いくつかの遊びを日替わりで入れ替えてみると、練習がマンネリになりません。
- 言葉さがし:付せんに言葉を書いて家じゅうに隠します。見つけた言葉はそのつど声に出して読みます。
- チョークあそび:庭や道路にチョークで言葉を書き、大人が言った言葉のところまで走って踏んだり、ケンケンで飛んでいったりします。
- ペチンあそび:カードをテーブルに広げ、大人が言った言葉をハエたたきでペチンとたたきます。
- にじいろ書き:一つの言葉を、色ちがいのクレヨン3色でなぞって書きます。
- ばばぬき・神経衰弱:同じカードを2枚ずつ作って、ペアをそろえるゲームにします。
- 1分チャレンジ:1分間でいくつ読めるか数えます。まちがえた数ではなく、いちばん多く読めた記録を残していきましょう。
読みまちがえても、きつく直さないであげてください。あたたかい声でサラッと正しい言葉を伝えて、次へ進めばそれで十分です。「これはむずかしいよね、これは『わ』って読むんだよ。またあとで探してみようね」。まちがえても大丈夫だと感じている子はどんどん挑戦しますが、テストされていると感じた子は心を閉ざしてしまいます。
カードだけでなく、本物の絵本で出会わせる
フラッシュカードはすばやく単語を見分ける力を育ててくれますが、言葉が本当に身につくのは、お話の中でその言葉に出会ったときです。練習が終わったら絵本を開いて、いま覚えている言葉を「本の中」で探させてあげましょう。見つけたら指をさして一緒に喜んであげてください。「あ、この言葉知ってる!」というあのひらめきの瞬間こそが、練習を自信に変えていきます。
ここでこそ、絵本のパーソナライズが静かに、そして大きな力を発揮します。子どもは、そのページが自分のことを描いていると、ぐんと読む気持ちが高まるものです。毎ページに自分の名前が登場し、自分の冒険の中で覚えたばかりの言葉が何度も出てくる——そんなオリジナル絵本は、サイトワードに「覚える意味」を与えてくれます。読書を宿題ではなく、親子のふれあいの時間にするヒントをもっと知りたい方は、読み聞かせを毎日の楽しい習慣にするコツもあわせてどうぞ。サイトワードの練習とぴったり相性が良いですよ。
ちゃんと身についているか見分けるサイン
サイトワードが定着したかどうかは、「すらすら読めるか」で分かります。文字を一つずつ音にしたり、当てずっぽうで読んだりせず、パッと見て言葉として読めているなら、それがゴールです。まだ一文字ずつ拾って読んでいるうちは、その単語はまだ習得途中。焦る必要はまったくなく、そのまま練習の輪に残しておけば大丈夫です。目安としては、別々の3日間で正確に、しかもすばやく読めたら「覚えた山」へ移す——このくらいのリズムがちょうどいいでしょう。
気をつけたいのは、最初の一文字だけを見て推測してしまうクセです。たとえば「want」を「went」と読んでしまうようなときは、言葉を認識しているのではなく、ざっと目で流している証拠。そんなときは少しペースを落として、単語全体を指でなぞりながら、もう一度しっかり結びつけ直してあげてください。それから、ぜひ覚えておいてほしいのは、10回ほどの繰り返しで覚えられる単語もあれば、40回かかる単語もある、ということ。このばらつきはごく当たり前のことで、お子さんの賢さとはまったく関係ありません。
「もう嫌!」が出る前に、無理はしない
もし練習の時間が涙やため息、うんざりした顔で終わるようになったら、その場ですぐに手を止めてください。読むことが、お子さんにとって「憂うつなもの」になってしまっては本末転倒です。数日おやすみしても構いませんし、ゲームに切り替えたり、ただ声に出して一緒に読む楽しさだけを味わったりするのもいいでしょう。金曜日までに「だから」という言葉を完璧にマスターすることよりも、長い目で見て「本が好きな子」に育つことのほうが、いつだって大切なのです。
“目指すのは、単語のテストに合格できる子ではありません。自分から本に手を伸ばす子です。”
— 読み方を教えるすべての先生が、いつかたどり着く答え
この記事のポイント
- 新しい単語は一度に2〜3個だけ。毎日5分の練習を続けることが、長時間の詰め込みよりずっと効果的です。
- 「見る→言う→つづる→使う」の流れで覚え、単語探しやタッチゲームなど遊びで繰り返し定着させましょう。
- 3日間、別々の日に速く正しく読めて初めて、その単語を「覚えた」の山へ移動させます。
- 練習で涙が出てしまったら、いったんお休み。単語一つより、読書を一生好きでいてくれることのほうが大切です。
よくあるご質問
サイトワードは何歳から家庭で教え始めればいいですか?+
多くの子は5〜6歳ごろに始めますが、年齢よりも準備が整っているかどうかが大切です。文字を指さしたり「これ何て読むの?」と聞いたり、自分の名前やロゴを見分けられるなら準備OKのサイン。まだなら、まずは読み聞かせと言葉の土台づくりを続けましょう。
一度に教えるサイトワードは何個までがいいですか?+
新しい単語は一度に2〜3個だけにしましょう。以前に覚えた単語の復習と合わせて、1日5分ほど練習するのが目安です。一気にたくさん増やすと子どもが混乱し、いらだちや当てずっぽうの原因になります。
サイトワードとフォニックスの違いは何ですか?+
フォニックスは、文字を一つずつ音にして読む方法です。一方サイトワードは、見た瞬間に丸ごと認識して覚える頻出単語で、標準的なフォニックスの規則に当てはまらないものも多くあります。子どもには両方が必要です。サイトワードを覚えておくと、難しい単語を読み解くための頭の余力が生まれます。
執筆 The Hello Storybook Team, 親であり、書き手であり、物語の語り手.
← 記事一覧


