本が好きな子は学校でも力を発揮しやすく、その気持ちを大人になっても持ち続ける——多くの親御さんが、この研究結果はすでにご存じだと思います。むずかしいのは、そこへ*どうやって*たどり着くか。スマホは手軽だし、寝かしつけの時間はいつもバタバタですから。でも安心してください。本好きは、文字をドリルのように覚えさせて育つものではありません。本があたたかくて、楽しくて、また手に取りたくなる——そんな小さな、画面のいらない体験の積み重ねから育つのです。ここでは、ふだんの一日にすっと組み込める具体的な遊びを、お子さんの年齢や気分に合わせて選べるようにまとめました。夢中になる読み聞かせがどんなものか見てみたい方は、サンプルのお話をのぞいてみてください。
完璧な本より、スクリーンなしの時間が効く理由
高価な教材も、雑誌に載るようなおしゃれな読書コーナーも要りません。子どもを読書家に育てるのは、お話と、大好きな人との、くり返しの気楽なふれあいです。スクリーンが悪者というわけではありませんが、語彙や理解力を育てるゆっくりとした「やりとりの会話」を、どうしても押しのけてしまいがち。絵本は、質問や、ふとした間や、おどけた声を招き入れてくれます。でもタブレットは、子どもが「あれ、これなあに?」とつぶやくのを待ってはくれません。
ここで紹介する遊びのねらいは、どれも同じ。本を「宿題」ではなく「遊び」に感じてもらうことです。読書が親密さや楽しさと結びつけば、子どもは自分から本に手を伸ばすようになります。それこそが目指すゴールです。
読み聞かせを一日の軸にする
読み聞かせは、いちばんリターンの大きい習慣です。しかも、子どもが自分で読めるようになってからも、ずっと効き続けます。すらすらと表情豊かに読む声を聞くことで、リズムや語彙、そしてお話の組み立て方が自然と身についていくのです。お昼のあと、お昼寝の前、寝る前——決まった時間に組み込むと、いちいち交渉しなくていい「流れ」になります。義務ではなく心地よい儀式にするために、読み聞かせのコツもぜひ参考にしてください。
- 声を使い分ける。低くうなるクマと、キーキー鳴くネズミがいれば、子どもは前のめりになります。
- ページをめくる前にひと呼吸おいて、「このあと、どうなると思う?」と聞いてみる。
- お気に入りは何度でも読む。罪悪感は不要です。くり返しこそ、幼い子がことばを覚える近道。
- ページは子どもにめくらせる。小さな手と集中力がしっかりつながります。
45分間の長丁場は要りません。スマホを置いて集中する10分を毎日続けるほうが、たまにやるマラソンより効果的です。習慣をつくるのは「続けること」です。
お話をページから連れ出して、遊びにする
子どもは、お話を演じてみると、いちばんよく理解できます。読み終えたら、数分でいいので本を遊びに変えてみましょう。とくに3〜6歳ごろは、ごっこ遊びが発達を大きく後押しする時期なので効果てきめんです。
- ぬいぐるみを登場人物に見立てて、お話を再現する。
- 積み木やクッション、台所の鍋を使って、本のワンシーンを作ってみる。
- 「このあとどうなった?」を絵に描く。作者が書かなかった、もうひとつの結末を。
- 登場人物が食べたもの・したことを、実際に作ったりやってみたりする。
こうした遊びは、ワークシート一枚使わずに、出来事の順序、登場人物、原因と結果——読解力の背骨になる力を、こっそり育ててくれます。
子どもを「語り手」にしてみる
読むことと語ることは、ひとつの力の裏表です。子どもが自分でお話を作ると、物語がどう成り立っているかを内側から理解でき、それが読む本をいっそう意味あるものにしてくれます。「ストーリーサイコロ」(紙の立方体に絵を描いて、転がして出た絵をお題にする)や、家族が一文ずつ順番に足していくお話づくりを試してみてください。
いちばん心に残るのは、その子自身が主人公のお話です。*その子*が困った人を助けたり、迷子の子犬を見つけたりするヒーローになるお話を語ってあげましょう。自分が冒険の真ん中にいると、子どもはうっとり夢中になります。この年ごろの子が冒険のお話や勇気のお話にぐっと惹きつけられるのも、まったく同じ本能によるものです。
“子どもは、親のひざの上で読書家になる。”
— エミリー・バックウォルド
本にあふれ、画面の少ない家に
環境は、あなたの代わりにたくさん働いてくれます。本が見えて、手が届くところにあれば、子どもは本を手に取ります。テーブルの上にいつもスクリーンが置いてあれば、そちらを手に取るのです。
- 子どもが過ごすすべての部屋に、本のかごを置く。寝室だけではもったいない。
- 何冊かは表紙を前に向けて。表紙は「読もう」の招待状、背表紙はただの壁です。
- 並べる本を入れ替える。古いお気に入りも、また新鮮に感じられます。
- ベッドのそばに小さなランプや懐中電灯を。静かに読む時間が特別なものになります。
- あなた自身が本を読む姿を見せる。お説教より、見せるほうがずっと効きます。
図書館と、暮らしのなかの文字を使う
週に一度の図書館通いは、無料で楽しめる、スクリーンなしのお出かけ。しかも子どもに「選ぶ権利」を与えてくれます。簡単すぎる本でも、ちょっと変わった本でも、好きに選ばせてあげてください。あなたが厳選したリストよりも、「自分で選んだ」ことのほうがずっとやる気を生みます。無料のおはなし会をやっている図書館も多く、読書がみんなで分かち合う社会的な喜びだと教えてくれます。
文字は、本の外にもあります。シリアルの箱、道路標識、レシピ、一緒に書いた買い物メモ——声に出して読んでみましょう。この「身のまわりの文字」は、文字がどこでも意味を持っているのだと教えてくれます。これこそ、読み始めの子に必要な気づきです。
年齢に合わせて遊びを選ぶ
よちよち歩きの子と7歳の子では、必要なものが違います。ねらいがしっかり届くよう、かんたんな目安をどうぞ。
- 0〜2歳:ボードブック、ものの名前あて、たっぷりのくり返し、歌やわらべうた。
- 3〜5歳:くり返しや韻のあるお話、本を演じる遊び、読むふりごっこ。
- 6〜8歳:少し長めの物語の読み聞かせ、ページを交代で読む、お話づくり。
- 8〜10歳:下のきょうだいやペットに読んであげる、夕食どきに家族で本の感想を語り合う。
どの年齢でも、子どものリードに従うのがいちばん。恐竜、サッカー、宇宙、妖精——その子がすでに夢中なものが、読書への入り口です。好きなものの本を見つければ、あとは自然とページが進んでいきます。
手放せなくなる、その子だけの一冊
本があまり好きではない子を、すばやく引き込む一冊がほしいなら、その子を主人公にしてあげてください。自分が主役のお話だと、子どもが同じ本を二十回もねだるのには理由があります。一字一句読みたくて、一枚ずつめくりたくてたまらないのです。名前入りの絵本は、毎晩の読み聞かせの軸としても、何年も読み返す宝物としても、すばらしい働きをします。おやすみ前の安らぎのテーマでも、お兄ちゃん・お姉ちゃん気分の冒険テーマでも、お子さんが主役の絵本を作るのは数分でできます。
この記事のポイント
- スクリーンなしの読み聞かせを毎日10分、続けること——いちばんリターンの大きい習慣です。
- お話を遊びに変える。演じる・描く・語り直すことは、ワークシートよりずっと読解力を育てます。
- 本を見える・手が届く場所に置き、あなたが読む姿を見せる。環境とお手本が静かに働いてくれます。
- 子どもの興味に従い、自分で選ばせる。読みのレベルより、やる気のほうが大切です。
よくあるご質問
本好きに育てる、いちばん効果的なスクリーンなしの遊びは?+
毎日の読み聞かせがもっとも効果的です。スマホを置いて、表情豊かに10分ほど読み、途中で質問したり「このあとどうなると思う?」と予想させたりしてみてください。語彙や理解力に加えて、本と心のあたたかいつながりが育ちます。
スクリーンを使わずに、子どもを本好きにするには?+
本を楽しく、見えるようにしてあげましょう。どの部屋にも本のかごを置き、お気に入りを何度も読み、おもちゃでお話を演じ、週に一度図書館へ行き、子ども自身に本を選ばせる。文字や音のドリルよりも、興味に寄り添って毎日読んであげることのほうが、はるかに大切です。
スクリーンなしの読書遊びは、何歳から始めればいい?+
生まれたときから始められます。赤ちゃんも、ボードブックや歌、わらべうたで読んでもらうことから恩恵を受けます。遊びは年齢とともに変えていきましょう。よちよち期はくり返しと名前あて、園児期はお話を演じること、そして大きくなったら少し長めの物語を一緒に読んだり、お話を書いたりします。
執筆 The Hello Storybook Team, 親であり、書き手であり、物語を紡ぐ者たち.
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