暗闇を怖がるお子さんと同じように、犬や雷、突然の大きな音を怖がるお子さんをお持ちなら、楽しかった一日があっという間に崩れてしまう瞬間をご存じでしょう。二軒先で犬が吠える、夕食のときに雷が鳴り出す、公衆トイレのハンドドライヤーがゴーッと音を立てる——それだけで、お子さんはしがみつき、泣き、その場から逃げたがります。でも安心してください。こうした恐怖はとてもよくあることで、発達上ごく自然な反応であり、落ち着いた根気強い対応にとてもよく応えてくれます。ここでは、小さな勇気を一歩ずつ積み重ねながら、お子さんが再び安心を取り戻すための方法をお伝えします。
大きな音や予測できないものが、どうしてこんなに怖いの?
犬、雷、花火、そのほかの大きな音への恐怖は、たいてい2歳から7歳ごろにいちばん強くなります。このとき、子どもの中では2つのことが同時に起きています。まず、小さな子どもの脳は、大きくて突然の、予測できない刺激を「危険かもしれない」と受け取るようにできています。ビクッと驚く反射は、体を守るためにちゃんと働いているのです。もう一つは、この年齢の子はやっと原因と結果を理解しはじめたばかり。だから、ゴロゴロと鳴る雷や、急に飛びかかってくる犬は、いつ起こるか分からない、自分ではどうにもできないもののように感じられます。「大きい」と「予測できない」が重なると、怖さは一気に倍になるのです。
これは、あなたの子が弱いとか、わがままだとか、「敏感すぎる」というサインではありません。ごく自然な発達の一段階です。親の役割は、理屈で怖さを打ち負かすことではありません。落ち着いてどっしり構えた大人でいてあげること。そうやって時間をかけて、子どもの神経系が「これは乗り越えられるものなんだ」「たいていは危なくないんだ」と少しずつ学んでいくのを助けてあげることなのです。
こわがっている、その瞬間にできること
恐怖がぐっと高まっているとき、子どもは理屈で考えることができません。脳の「考える部分」が一時的にオフラインになってしまうからです。だから今は説明を後回しにして、まずは落ち着いた気持ちで寄り添うことを優先しましょう。しゃがんで子どもの目線に合わせ、そばに寄り添い、声はやわらかく、ゆっくりと。落ち着いたあなたの体そのものが、いちばん頼りになる道具です。子どもは自分で落ち着きを見つけられるようになる前に、まず親の落ち着きを借りているのです。
- 気持ちを言葉にする——「大きな音だったね。こわかったね。ママ(パパ)はここにいるよ」とシンプルに。
- 体を差し出す——ひざの上、ぎゅっとハグ、握れる手。どのくらいくっつきたいかは、子ども自身に決めさせてあげましょう。
- 刺激を減らす——窓を閉める、静かな部屋に移る、イヤホンを渡したり手で耳をふさいだり。
- こわさに「役目」を与える——「次のゴロゴロまで何秒あるか、いっしょに数えてみようか」。無力感が好奇心に変わります。
- なだめすぎの落とし穴に注意——「大丈夫、こわいことなんて何もないよ」はあまり役に立たないうえ、『大きな気持ちは受け入れてもらえない』というメッセージになりかねません。
目指したいのは、「こわかったけど、乗り越えられた」と学べる子です。あなたといっしょに一つひとつの嵐をくぐり抜けるたびに、その静かな自信がレンガを積むように少しずつ育っていきます。
怖くない時間にこそ、勇気は育つ
本当の意味で前に進めるのは、子どもがパニックになっている最中ではなく、心が落ち着いているときです。ここで大切になるのが、少しずつ、無理のない範囲で「苦手なもの」に近づいていく練習。子どもが自分で受け止められるくらいの、ほんの小さな一歩から始めます。ポイントは「少しずつ」であること。「早く犬をなでてごらん!」と急がせると、かえって恐怖を強く刻みつけてしまいます。子どものペースに合わせてゆっくり進めることが、怖い気持ちを書き換えていく近道なのです。
たとえば犬が苦手な子なら、こんな「階段」が考えられます。まずは絵本の中の犬を見る、次に動画で見る、それから公園の向こう側にいるおとなしい犬を遠くから眺める、少し慣れたらリードにつながれて眠そうにしている犬を数メートル離れて見る、そして何週間か経ってから、大人がすぐそばに付き添った状態でおやつをあげてみる——そんなふうに一段ずつ進めます。雷が苦手な子なら、毛布にくるまってホットココアを飲みながら「お空のショーを見る時間」にしてしまうのもおすすめ。あの音が、怖さではなく心地よさと結びついていきます。
- ペースも距離も、子ども自身に決めさせてあげましょう。「いつでも離れていいんだ」と思えることが何より大切です。
- ゴールではなく、小さな一歩をこそ大喜びしてあげて。「犬のそばに1分も立てたね!すごい!」
- 同じ小さな一歩を、退屈になるくらい何度も繰り返してから、ほんの少しだけ近づけます。
- 苦手なものと、だまし討ちや不意打ちで接触させるのは絶対にNG。信頼こそがこの取り組みのすべてです。
「こわい」に名前をつけて、コントロールを取り戻す
子どもは、今なにが起きているのかを言葉にできて、少しでも仕組みがわかると、こわさがやわらぎます。たとえば「かみなりは、光ったあとに空気が出す音だよ。あなたには当たらないから大丈夫」——こんなふうにシンプルで正直な説明があると、正体のわからない不安に、つかまえる手がかりができるのです。どんな不安な場面でも、気持ちに名前をつけてあげることは、子どもを守るいちばん力になる方法のひとつです。
こわさの特効薬は「自分でコントロールできる」という感覚です。子どもと一緒に「かみなりセット」を作ってみましょう——懐中電灯、お気に入りのぬいぐるみ、ヘッドホンなど。あるいは家の中に「勇気の場所」を自分で選んでもらうのもいいですね。犬が苦手な子には、世界じゅうの子どもに役立つ具体的なルールを教えてあげてください。「飼い主さんに聞く」「手のにおいをかがせる」「背中をなでる——顔はさわらない」。ルールがあると、こわい未知のものが、こなせる作戦に変わります。
絵本は、こわい気持ちの「予行演習」になる
こわいものと少しずつ向き合うためのいちばんやさしい道具、それが絵本です。こわがっていた主人公が、やがて勇気を見つけていく——そんなお話を読むことで、子どもはページという安全な距離をたもったまま、自分のこわさと向き合えます。しかも、いざ本番というときに親子で使える「共通の言葉」も手に入ります。たとえば「あのお話の子、雷の音を数えてたよね」といったふうに。これを毎晩のお楽しみにすれば、力はさらに増します。詳しくは読み聞かせを「習慣」に変えるコツをどうぞ。
そして、ここでこそオリジナル絵本の出番です。Hello Storybookの勇気のお話では、どのページでもわが子が主人公。雷の音を聞き、足がすくんでも、それでも「勇気を出そう」と決めるのは、ほかならぬあなたのお子さん自身です。自分が勇敢にふるまう姿を文字と絵で目にすることは、幼い心に驚くほど強く響きます。今まさに向き合っているあの犬や、あの嵐をそのままお話に織り込むこともできるので、絵本が、親子で一段ずつのぼっている「こわさの階段」をそっと映し出してくれます。
専門家の力を借りたほうがいいとき
たいていの怖がりは、焦らず時間をかけて、少しずつ慣れる練習を重ねるうちに、自然とやわらいでいきます。でも、その怖さが日常生活に支障をきたすほど強い場合は、かかりつけの小児科医や子どものこころの専門家に相談してみてください。たとえば、家から出るのを頑なに拒む、パニック発作を起こす、眠れない日が何週間も続く、あるいは落ち着くどころかどんどん悪化していく――こうしたサインが見られるときです。子どもの不安は、きちんと対応すれば十分によくなるものです。早めに助けを求めるのは、親としての失敗ではなく、むしろよい判断だということを覚えておいてください。
“勇気とは、怖くないことではありません。怖いと感じながら、それでも、信頼できる誰かにそばにいてもらって、ほんの一歩を踏み出すこと。それが勇気です。”
— 冷蔵庫に貼っておきたい言葉
Key takeaways
- 犬・雷・大きな音への恐怖は発達上ごく自然なもので、特に2〜7歳によく見られます。理屈で説明することよりも、あなた自身が落ち着いていることのほうが大切です。
- 怖がっているまさにその瞬間は、まず寄り添い、刺激を減らすことを優先しましょう。理由を教えるのは、お子さんが落ち着いてからで十分です。
- 勇気は、お子さんのペースに合わせたゆっくりとした「慣らし」と、恐怖に言葉を与えて「自分でコントロールできる」感覚を持たせることで育ちます。
- お子さん自身が勇敢な主人公になる物語は、本番の怖い場面に向けた、プレッシャーのないすばらしい予行練習になります。
Frequently asked questions
以前は平気だったのに、急に犬や雷を怖がるようになったのはなぜですか?+
新しい恐怖は、想像力が育ち、原因と結果を理解し始める2〜7歳ごろに現れることがよくあります。犬や雷を急に怖がるのは後戻りではなく自然な成長段階で、そばに落ち着いた大人がいて、少しずつ慣らしていけば、たいてい自然に和らいでいきます。
雷のとき、恐怖をひどくさせずに子どもを助けるにはどうすればいいですか?+
落ち着いてそばに寄り添い、「大きな音だったね、ママ(パパ)はここにいるよ」とシンプルに気持ちを言葉にしてあげましょう。静かな部屋やイヤーマフで音を減らし、「ゴロゴロの間を数えてみよう」など恐怖に役割を与えるのも効果的です。「怖がることなんて何もないよ」と気持ちを否定するのは避けましょう。
子どもの大きな音への恐怖について、いつ心配すべきですか?+
家から出るのを拒む、パニック発作を起こす、何週間も眠れない、恐怖が悪化し続けるなど、日常生活に支障が出ている場合は、かかりつけの小児科医に相談しましょう。子どもの不安はとても治療しやすく、早めにサポートを受けることが大きな違いを生みます。
Written by The Hello Storybook Team, 親であり、ライターであり、物語の語り手.
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