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おやすみと大きな気持ち

不安が大きすぎるとき——心配性な子どもへの寄り添い方

文 The Hello Storybook Team · 親であり、書き手であり、物語をつむぐ人たち2026年9月2日約8分で読めます
暗い森の中で、やさしい親のそばを、光るランタンを手に落ち着いて歩く子ども

校門の前で足がすくんでしまう。「もし〇〇だったらどうしよう」と一日に何度も聞いてくる。明日のことを思い出しては夜中まで眠れずにいる——そんなわが子を見ていると、親としてどうしていいか分からず、無力に感じてしまいますよね。不安が強い子どもへの寄り添い方とは、こわい気持ちを号令ひとつで消すことではありません。子どもの神経が「ここは安全なんだ」と学んでいくあいだ、安心して握れる手を差し出してあげること。この記事では、10歳までの子どもに不安が実際どんな形で現れるのか、その瞬間にかける言葉、そして長く続く心の強さを育む毎日の小さな習慣を、一つずつご紹介します。

子どもの不安は、こんな姿であらわれる

不安を感じている子どもが、「わたし、不安なの」と口にすることはほとんどありません。10歳くらいまでの子の場合、不安はいろいろな姿に形を変えてあらわれます。登園・登校前になるとお腹が痛くなる、急にべったり甘えてくる、ちょっとした変化で大泣きする、寝る前にいつまでも「ねえ、これは?」と質問を繰り返す、新しいことをかたくなにやりたがらない——どれも不安のサインかもしれません。大声を出して反抗的になる子もいれば、逆に静かで聞き分けのよい子になる場合もあり、後者は見逃されやすいので注意が必要です。姿はさまざまでも、そこには共通点があります。それは、脳が危険を実際より大きく見積もり、「自分にはこれを乗り越える力がある」ということを過小評価している、という状態です。

ある程度の心配や不安は、健康で自然なものです。ただ、それが頻繁に起こる、とても強い、あるいはお子さんの世界をだんだん狭めていく——お誕生日会に行きたがらない、公園を避ける、まだ何週間も先のことを今から怖がる——といったときには、意識してサポートしてあげたいサインです。

「大丈夫」の前に、不安に名前をつける

「大丈夫だよ、何も心配ないから」——そう安心させてあげたくなる気持ちは、まぎれもない愛情です。でも、じつはこの言葉が逆効果になることがあります。不安でいっぱいの子どもにとっては、自分のリアルな気持ちを軽く流されたように感じてしまうのです。まずは気持ちに寄り添うこと。「直す」よりも先に「つながる」ことが大切です。

そこで、目の前で起きていることをそのまま言葉にして、感情に名前をつけてあげましょう。「はじめてのパーティーだから、おなかがそわそわするんだね。そう感じて当然だよ」というふうに。気持ちを言葉にすることは、脳の警報システムを実際に落ち着かせてくれます。だからこそ子どもが自分の気持ちに名前をつけられるように手助けすることは、親ができるいちばん力のあることのひとつなのです。ご家庭によっては、その不安に「しんぱいモンスター」や「もしもし頭」といったあだ名をつけることもあります。そうすると子どもは、不安を自分自身とは切り離した“別のもの”として話せるようになり、自分の欠点だと思い込まずにすむのです。

パニックの瞬間、その場で本当に役立つ対処法

感情が高ぶって心がいっぱいになっているとき、子どもの「考える脳」は一時的にオフラインの状態です。だから、この瞬間に理屈を説いたり長い説明をしたりしても届きません。今こそ、頭ではなく「体」に働きかけるとき。次の方法を試してみてください。そして大切なのは、落ち着いているときにこそ一緒に練習しておくこと。いざという場面で自然に使えるようになります。

  • 呼吸をゆっくりにする——「お花の香りをかぐように」息を吸って、「ろうそくの火を消すように」ふーっと吐き出します。長く吐く息こそが、体に「もう安全だよ」という合図を送ってくれます。
  • 五感でいまここに戻る——目に見えるものを5つ、聞こえる音を4つ、触れるものを3つ、声に出して数えてみましょう。渦巻く不安から意識をそらし、今いる部屋へと引き戻してくれます。
  • 壁を思いきり10秒間押す、またはクッションをぎゅっと握りしめてから、パッと力を抜く。大きな筋肉を使うと、たまった緊張のエネルギーを外に逃がせます。
  • 子どもが触れられるのを嫌がらないなら、背中にそっと手を添えたり、しっかり抱きしめたり。落ち着いた親の体が、子どもの体を整える助けになります。
  • 親自身の声を、低く、ゆっくりと保つこと。子どもは自分の自律神経が育つ前に、まず親の神経を「借りて」落ち着くのです。
こんな言葉をかけてみて

「大丈夫だよ。ママ(パパ)がそばにいるからね。一緒に乗り越えようね」。短く、温かく、何度でも繰り返せる——不安と言い争うことなく、子どもに心のよりどころを渡してあげられます。

「勇気の階段」を、一段ずつのぼっていく

不安を抱えやすい子への長い目でのサポートは、「怖いと感じることも、たいてい乗り越えられるんだ」と脳に教えていく作業です。怖がっていることを避けさせてあげるのは、その場ではやさしさに見えます。でもそれは不安に向かって、そっと「やっぱり危なかったね、逃げて正解だったね」と言っているようなもの。だからこそ効くのが、ゆるやかに、少しずつ慣れていく方法——よく「勇気の階段」と呼ばれるやり方です。

大きな怖さを、小さな段に分けてあげましょう。たとえば一人で眠るのが怖い子なら、まずはあなたがベッドのそばに座るところから。次はドアのところに立って見守る、そのまた次は数分おきに様子を見に行く——というふうに階段をつくります。一段のぼれるたびに、たっぷりほめてあげてください。勇気とは、怖くないことではありません。怖さがまだそこにあるのに、それでもやってみることが勇気です。この一段ずつのやり方は、暗闇への恐怖はもちろん、犬・雷・大きな音といった具体的な怖がりにも同じように使えます。

“勇気とは、怖くないことではありません。心がふるえているのを感じながら、それでももう一歩だけ進んでみること——「あなたならできる」と信じてくれる人が、そばにいてくれるなかで。”

— わたしたちがいつも立ち返る言葉

睡眠と生活リズム、そしてママ・パパ自身の心の余裕を守る

不安と疲れは、たがいに悪循環を生みます。睡眠不足の子どもは、心配ごとに向き合うだけの力が残っていません。反対に、不安があると寝つきが悪くなる——この負のループは、どこかで断ち切りたいものです。ゆったりと、いつも同じ流れで過ごす寝る前のひとときは、「今日はもう安心して終わっていいよ」と神経を落ち着かせてくれます。もし寝かしつけが毎晩の戦いになっているなら、本当に効く寝る前ルーティンをつくることから始めてみてください。

日中の見通しも、同じくらい大切です。不安の強い子は、次に何が起こるかがわかっていると安心できます。だから、切り替えの前には「おやつのあとにお着替えして、それからおばあちゃんがお迎えに来るよ」と先に伝えてあげましょう。予定の変更もできるだけおだやかに。そして、自分自身の酸素マスクを後回しにしないこと。子どもは、驚くほど正確に大人のストレスを感じ取ります。つらい場面の前に10分だけ自分を整える時間を取るのは、わがままではありません。それも立派な「ケアの一部」なのです。

専門家の力を借りたほうがいいサイン

子どもの不安の多くは、そばで寄り添い、根気よく練習を重ねていくことで、驚くほどやわらいでいきます。でも、すべてをお母さんお父さんだけで抱え込む必要はありません。次のようなサインが見られるときは、専門家の目で見てもらうことを考えてみてください。かかりつけの小児科医や、子どものカウンセラーに相談するのがひとつの目安です。

  • 不安のせいで、学校や友だち付き合い、睡眠、食事に支障が出ている状態が、数週間続いている。
  • パニックのような発作をたびたび起こす、あるいは体調不良を訴えるのに医学的な原因が見当たらない。
  • 不安によって世界がどんどん狭くなり、以前は楽しんでいた活動まで避けるようになった。
  • 自分を傷つけるような言葉が出る、あるいは、いつものやり方ではとても手が届かないほど苦しんでいるように感じる。

助けを求めることは、けっして「親としての失敗」ではありません。しつこい咳が続いたら病院に行くのと、まったく同じことです。子ども向けに工夫された認知行動療法(CBT)などは高い効果が確認されていますし、早めにサポートを受けるほど、回復もぐっと早くなる傾向があります。

絵本は「安全な場所での予行練習」になる

子どもは、大きな感情を正面から話し合うよりも、遊びや物語を通して「横から」少しずつ受け止めていくものです。絵本を開けば、登場人物が怖がって、それでも勇気を出して一歩を踏み出し、最後にはちゃんと大丈夫になる——その一部始終を、お母さんやお父さんのひざの上という一番安心できる場所から見届けることができます。そしてそれは、親子だけの合言葉にもなります。「あのとき、お花のにおいをかいで、ろうそくをふーって消したの、おぼえてる?」というふうに。

だからこそ、こういう場面では名前入りの絵本がとくに力を発揮します。ドキドキする気持ちに立ち向かい、自分の中の勇気を見つけるヒーローがわが子自身だったら、メッセージの届き方はまるで違ってきます。勇気を出しているのは知らない誰かではなく、ほかならぬわが子だからです。ハローストーリーブックの勇気の絵本は、むずかしいことに挑戦する主人公として、お子さんの名前と顔をそのままページにのせます。最後のページを読み終えたあとも、不安な気持ちについてやさしく、何度でも語り合えるきっかけになります。作る前に、サンプルの絵本でどんなふうになるのかをのぞいてみることもできますよ。

もちろん、これは気持ちに名前をつけたり、いっしょに「勇気のはしご」を一段ずつのぼったりという毎日の積み重ねに取って代わるものではありません。でも、わが子が自分の姿を重ねられる物語があれば、その積み重ねが、親子どちらにとってもずっと軽やかに感じられるはずです。

この記事のポイント

  • 安心させる前に、まずは心配な気持ちに名前をつけて受け止めてあげましょう。つながりは理屈よりも早く脳を落ち着かせます。
  • 不安の瞬間は、頭ではなく体に注目を。ゆっくり息を吐く、五感で今を感じる、そして親自身が落ち着いていること。
  • 回避ではなく、やさしく少しずつ慣れさせることで不安は小さくなります。勇気を出せた一歩を、その都度たっぷりほめてあげて。
  • 不安が日常生活を妨げたり、子どもの世界を狭めてしまうときは、小児科医やカウンセラーに相談を。

よくあるご質問

不安になっている子どもを、その場で落ち着かせるには?+

理屈ではなく体に働きかけましょう。「お花の匂いをかいで、ろうそくを吹き消して」と声をかけながら、長く息を吐く呼吸を一緒に。見えるもの・聞こえるものを五つ数えて今に意識を戻し、望むならぎゅっと抱きしめてあげます。親の声は低く穏やかに保ち、その落ち着きを子どもが借りられるようにしてあげてください。

小さな子どもが不安になるのは、普通のことですか?+

はい。ある程度の心配は、成長のなかで自然で健やかなものです。特に初めての場面や、親と離れるとき、暗闇に対しては誰にでも起こります。ただし、不安が頻繁で強く、何週間も続いたり、これまで楽しんでいたことができなくなり始めたときは、追加のサポートを考える価値があります。

こわがっていることを、子どもに避けさせてもいいのでしょうか?+

避けることは一時的にはラクにしてくれますが、「あの状況は本当に危険だった」と脳に教えてしまい、かえって不安を大きくしがちです。おすすめは「勇気のはしご」。こわさを小さな段階に分け、一つずつ練習して、できるたびに小さな成功を一緒に喜んであげる方法です。

執筆 The Hello Storybook Team, 親であり、書き手であり、物語をつむぐ人たち.

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